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自分の腰痛を生徒に治してもらう ― 整体ベーシックスクール終盤の実践

整体ベーシックスクールも終盤に差し掛かると、生徒さんたちの技術が大きく形になってきます。最初は「立ち位置はここで良いのか?」「圧のかけ方が分からない」と手探りだったものが、回を重ねるごとに確実に“整体の手”へと育っていくのです。

そんな段階になると、講義中に実際に僕の身体を使って施術を試してもらう場面も増えてきます。実は先日の講義で、腰痛が強く出ていた私自身を教材にすることになりました。

生徒に触れてもらうという実践的な学び

腰痛というのは、治療家にとっても身近な不調です。長時間の施術やデスクワークで、自分自身の身体に負担が溜まってしまうことはよくあります。

「今日は腰の調子が良くないな」と思いながら講義をしていたところ、生徒さんに見抜かれてしまいました。そこで「では、実際に私の腰を施術してみましょう」と課題を出しました。

もちろん、そのままでは練習ではなく“行き当たりばったり”になってしまいます。そこで基本から確認。触れ方、体の使い方、スタンスの取り方――基礎を踏まえたうえでのアプローチができているかを一つひとつ指摘しました。

「ちょっと違う」の本当の意味

施術を受けながら生徒にフィードバックしていると、つい口から出てしまう言葉があります。

「うん、悪くはないけど、ちょっと違うね。」

これは単なるダメ出しではありません。むしろ「あと一歩で正解に近づいている」という合図です。本当に全く違っている場合は、僕自身がまず正しい形を示します。しかし、基礎ができていてあと少し感覚を掴めば良い、という段階だからこそ「ちょっと違う」と伝えるのです。

受講生にとってはもどかしい言葉かもしれませんが、その“あと一歩”を自分で掴んだときに技術は一気に身になります。

腰痛が教材になる瞬間

数人の生徒が順番に施術していくと、驚くほど身体が軽くなっていきました。最初は前屈みになるのも辛かった腰が、講義が終わる頃にはすっと伸ばせるようになっていたのです。

「先生、どうですか?」と不安そうに尋ねる生徒に、僕は正直に「本当に楽になったよ」と伝えました。

その瞬間、教室に広がった達成感は独特なものでした。誰かの不調を改善できたという経験は、生徒にとって自信になります。そして、その相手が“先生”であることは、大きな励みとなるのです。

教えることと学ぶことの相互作用

今回改めて感じたのは、「教える」という行為は一方通行ではないということです。
指導する中で僕自身も新しい発見を得ますし、生徒の施術を受けることで自分の身体も整えられる。

そして腰痛という不調が、ただの“困りごと”ではなく、生徒を成長させる教材となったことに意味を感じました。

整体を学ぶ過程では、技術や理論を頭で理解することも大切ですが、やはり「人の身体に触れ、相手を楽にする」という実体験に勝るものはありません。生徒がそれを体感し、結果を実感する場面を作れることこそが、スクール後半での大きな学びの一つだと思います。

まとめ

今回の講義では、私自身の腰痛が思わぬ教材となりました。
生徒の手技によって実際に楽になったという事実は、何よりの成功体験であり、同時に「基礎を徹底して学ぶことの重要性」を裏付けるものでした。

整体は魔法のような特別な技術ではありません。正しい触れ方、姿勢、スタンスといった基礎を積み重ね、その上に経験を重ねていくことで「人を楽にできる力」に変わっていきます。

腰痛を通じて学び合えた今回の講義。
これから卒業を迎える生徒たちが、それぞれの現場で“誰かの痛みを和らげられる整体師”として歩んでいく姿を楽しみにしています。

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