臨床30年以上の知見を、あなたの臨床へ。 治療家・セラピストのためのWebマガジン

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TECHNIQUE

背骨は「縦のパーツ」ではなく「連動する一つの構造」

解剖学では、

頸椎・胸椎・腰椎と分けて学びます。

しかし臨床では、

背骨は一枚の「連続した波」です。

どこか一か所が止まれば、

必ず別の場所が動きすぎる。

つまり、

•頸椎の問題は、頸椎だけの問題ではない

•腰椎の問題も、腰椎だけでは終わらない

その中継点にあるのが、胸椎。

特に上部胸椎です。

頸椎 × 上部胸椎:首は「T1〜T3の上に乗っている」

頸椎がつらい人ほど、T1〜T3は固い

首こり・ストレートネック・頸椎症。

こうした症状を持つ患者の多くは、

T1〜T3が“岩のように”動きません。

なぜか。

頸椎は本来、

胸椎の可動性を土台にして動く構造だからです。

土台が動かないと、

•頸椎は過剰に動く

•表層筋が緊張する

•深層筋が働かなくなる

結果として、

「首そのものを治療しても戻る」

という現象が起こります。

頸椎治療が効かない本当の理由

頸椎をいくら緩めても、

アジャストしても、

すぐ戻るケース。

その多くは、

頸椎を“頸椎として”しか診ていない

という落とし穴にはまっています。

T1〜T3が固まったままだと、

•頸椎の下からの逃げ場がない

•回旋・側屈が上で代償される

•C5〜C7にストレスが集中する

つまり、

頸椎は被害者であることが多いのです。

上部胸椎が動き始めた瞬間、

頸椎治療の手応えがガラッと変わる。

これは多くの治療家が

「ある日突然わかる」臨床体験です。

上部胸椎 × 腰椎:遠いようで、実は近い関係

一見、

T1〜T3と腰椎は遠い存在に思えます。

しかし、身体はこう考えています。

「上が動かないなら、下で帳尻を合わせよう」

腰椎が頑張りすぎている人の共通点

慢性腰痛の患者を診ると、

•腰椎の可動性が高すぎる

•反りが強い

•安定性がない

というケースが非常に多い。

その背景にあるのが、

•胸椎が動かない

•胸郭が固い

•呼吸が浅い

という状態です。

特に上部胸椎が固いと、

•胸郭が持ち上がらない

•呼吸が腹部に落ちない

•腰椎が代わりに反る

結果、

腰椎が呼吸を代償する

という状態になります。

これはもう、

腰が壊れる準備が整っている状態です。

胸椎が動くと、腰が「休める」

T1〜T3を含めた胸椎が動き始めると、

•吸気で胸郭が広がる

•呼気で自然に沈む

•腹圧が適切に使える

こうした流れが戻ります。

すると、

•腰椎の反りが自然に減る

•無意識の緊張が抜ける

•立位・歩行が安定する

腰を直接触らなくても、

腰が楽になる。

これは魔法ではなく、

連動が戻っただけです。

頸椎・胸椎・腰椎を「別々に治療しない」

ここで重要な視点があります。

頸椎 → 胸椎 → 腰椎

どれか一つを主役にしない

という考え方です。

主役は常に、

「全体の流れ」

ただし、

その流れを再起動させる

スイッチになりやすいのが、

上部胸椎なのです。

臨床でのシンプルな判断基準

迷ったら、これを基準にしてください。

•頸椎がつらい → T1〜T3を必ず診る

•腰椎が不安定 → 胸椎の可動性を診る

•どこを触っても変わらない → 胸郭と呼吸を疑う

そして、

「いま一番、頑張らされている場所はどこか」

を考える。

そこは大抵、

本来の役割を押し付けられている場所です。

上部胸椎は「連動の起点」

T1〜T3は、

•頸椎にとっては“土台”

•腰椎にとっては“免震装置”

•呼吸にとっては“起点”

という三つの顔を持っています。

ここが変わると、

•首が安心する

•腰がサボれる

•身体全体が軽くなる

治療が

「部分対応」から

「全体調整」へ変わる瞬間です。

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