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「安くないと来ないお客さん」に疲れた整体師へ
正直に言います。
「もっと安くなりませんか?」
この一言に、心がすり減ってきた整体師さんは少なくないはずです。
最初は笑顔で対応できていた。
駆け出しの頃は「来てくれるだけでありがたい」と思えていた。
でも、いつからか気づくんです。
値段の話しかしない人ほど、
こちらの話を聞いていない。
体の話にも、生活の話にも、未来の話にも興味がない。
あるのは「いくらか」だけ。
そして、そういう方ほど
・説明しても実践しない
・次回来ない
・効果があっても評価しない
・値上げした瞬間に消える
…不思議なほど、共通点があります。
安さを求める人が悪いわけじゃない
ここは大事なところなので、はっきり言います。
「安くないと来ないお客さん」が悪いわけではありません。
ただ、価値観が違うだけです。
整体を
「とりあえず今の痛みを消すもの」
「マッサージの延長」
「消耗品」
として見ている人と、
整体を
「体と人生を整えるための投資」
「自分を大切にする時間」
「信頼関係」
として見ている人。
同じ“整体”という言葉を使っていても、
まったく別の世界に生きています。
その違いを無理に埋めようとすると、
整体師のほうが先に疲れます。
値段を下げるほど、苦しくなる理由
「もう少し安くすれば人が来るかも」
そう思って値下げした経験、ありませんか?
確かに一時的には人が増えることもあります。
でもその代わりに増えるのは、
・短時間で結果を求められる圧
・クレームへの恐怖
・数をこなさないと成り立たない施術
・自分の体と心の消耗
気づいたら、
“治すための整体”ではなく
“こなすための整体”になっている。
これ、かなり危険です。
整体師が疲れ切った状態で、
本当に人を良くできるでしょうか。
本当に来てほしい人は、誰ですか?
一度、立ち止まって考えてみてください。
あなたは、
・どんな人の体に触れたいですか
・どんな人の人生に関わりたいですか
・どんな人と長く付き合いたいですか
「ちゃんと話を聞いてくれる人」
「自分の体に責任を持とうとする人」
「時間とお金を“覚悟”として使う人」
もしそうなら、
安さで集める必要はありません。
むしろ、安さで来る人を手放す勇気が必要です。
値段は、覚悟のフィルター
施術料金は、
あなたの技術の値段である前に、
相手の本気度を測るフィルターです。
高いか安いかではありません。
「この人は自分の体に向き合う準備があるか」
それを静かに選別しています。
だから、値段に文句を言われたとき、
落ち込む必要はありません。
「あ、この人とは今はご縁がなかったんだな」
それでいい。
整体師は、
全員を救わなくていい。
全員に好かれなくていい。
整体師が壊れたら、元も子もない
最後に、これだけは伝えたいです。
整体師が疲れ切って、
自分の体や心を後回しにして、
それでも「安くしなきゃ」と無理をする。
それは、
整体という仕事そのものを
すり減らしている行為です。
あなたが整っているから、
人を整えられる。
その順番だけは、
絶対に間違えないでほしい。
安くないと来ない人が去って、
静かになった院内で、
本当に必要としてくれる人が
ちゃんと現れます。
そのとき、
整体師という仕事は、
もう一段、深く、楽しくなります。
焦らなくていい。
迎合しなくていい。
あなたの整体を、
ちゃんと欲しがる人は、
必ずいます。
その人のために、
今日も自分の軸を整えていきましょう。

