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魅せるセミナー4
─ ストーリーと本能で人を動かす ─
いよいよ最後です。
先回の内容をご記憶ですか?
「5大本能的衝動」というものを先回の終わりにお話ししましたが、覚えていますか?
5大本能的衝動
- 生存本能
- 群居衝動
- 自己重要感
- 好奇心
- 性欲
魅せるということを考えた時に、
人がどのように感じるか?
という部分を、わかってやるのと知らないでやるのとでは結果が随分異なります。
やるのであれば、知っている方がいい。
なぜならば、人間の本能を刺激することで結果は大きく違っていくからです。
この5大本能のうち、3つ欠けると人はあなたから離れていきます。
2つであれば、まだとどまってくれるでしょう。
それについて一番重要なのは、
3:自己重要感。
ここをくすぐってあげることが必要です。
それぞれの本能とは
- 生存本能 … 生きるために反応する欲求。生命維持・収入。
- 群居衝動 … 群れ。集まる。集団の中での自分の立ち位置・役割について満たされたい。
- 自己重要感 … 認められている。必要とされている。
- 好奇心 … 知らないことへの興味・わくわく。
- 性欲 … 男女のバランス。
このセミナーに置き換えると、
- 稼ぐために必要だから参加する。
- 10人程度集まれば「自分も行かなきゃ」という衝動。
- セミナー中に名前を呼ばれてネタとして紹介される → 自分にスポットライトが当たる。
- 今まで考えたこともなかった“魅せる”ということを学べる。
- 男女それぞれ参加している(飲み会なら「イケメンがいるよ」など)。
特に3番。
自分にスポットライトが当たるということは、
「自分を見てくれている」「紹介してくれている」という、ある種の快感が生まれます。
セミナーの話題の中で必要とされた。
このセミナーにおいての自分の立ち位置が明確になる。
これが重要です。
これを、お店に来る患者様にも同じようにしてみてください。
「あなたが来てくださっているおかげで自分も成長できています。」
「あなたが来て、口コミして下さっているおかげで繁盛しています。」
イベントを仕掛ける場合には、
その集まりの中で、その人がいかに重要かを当人に意識してもらう。
確認してあげる必要があります。
相手の役割(仕事)・必要性を見出して、意識してもらい、伝えてあげる。
これは、スポットライトが当たっていて主役のような気持ちになる。
ある種の快感が生まれるので、言われた人はとても気持ちいい。
この「気持ちいい」が、
やがて「あなたといると心地いい」に変わり、
人はあなたについてきてくれるようになります。
これは、とある本に詳しく書かれています。
ぜひ、探して読んでみてください。
思ったより理屈っぽいでしょ?
これは、人を自分に向いてくれるために使っている手法でございます。
魅せるに必要なストーリーづくり
さて、ここからは「魅せる」に必要なストーリーの作り方についてお話しします。
「魅せるにはストーリーが必要です」と以前お話ししました。
では、どのようにストーリーを作るとよいのか?
実は、イベントや告知、お知らせなども、
このストーリーを用いることで物事が伝わりやすくなります。
ストーリーには7つの法則があります。
世の中のストーリーは、必ずこのどれかに当てはまっています。
ストーリーの7つの法則
1.起承転結の法則
「起(つかみ)」がうまくいくと、だいたいすべてうまくいきます。
最初に心をいかに掴むかが重要。
はじめ良ければすべてよし。
舞台の前に“前説”があるのもそのため。
最初がうまくいけば、あとは惰性でうまくいく。
だから――
最初に気合を入れましょう。
ディズニーランドを例にとると、
門をくぐるとまず噴水、
その後にアーケード(少し狭い空間)があり、
グッズが手に届く位置に並びます。
ワクワクさせた後、視界いっぱいに広がるアトラクションの空間。
ディズニーのリピート率が高いのは、この「導線設計」が要因でもあります。
余談ですが――
リピート率とは、世の中の出来事に対し何%くらいでしょう?
平均すると5%。
1年以内にもう一度購入する確率です。
- 5%以上 → ヒット商品。
- 5%以下 → 棚から消える。
- 20% → スタンダード・ロングセラー。
整体がスタンダードになっていないということは、
本当のリピート率が20%にも満たないということ。
お店をたたむ人は5%以下の人。
「98%リピート!」なんてうたうのは、実は非常に怖い。
固定のお客様ばかりということだから。
一気に来なくなったら終わり。
新規の獲得ができていない状況にもなります。
固定客(リピート)は50〜60%がちょうど良い。
残りの%を新規で補うのが健全。
リピート率100%なんて、危険です。
自給率100%と同じ。
災害が起きたら、それで終わり。
お客がいなくなってから「来てください」では、もう集まらないのです。
2.常識の法則
世間が常識と認めているものと逆の常識を味方にする。
→ 非常識を味方にする。
たとえば「楽して儲けたい」。
これは非常識な発想ですが、
これをどうやって味方につけるかを考えることが大事です。
「リピート率90%は常識ですよね」
→ 「ではないですよ!」と逆の話をする。
ルパン三世はいい人ですか?
彼は世紀の大泥棒、本来は悪者。
でも、“かっこよく見せるストーリー”で人の心をつかんでいる。
3.自由の法則
世の中の人は、みんな“自由な人”に憧れています。
どうやって自由な人として見せるか?
フリーターには憧れないが、
ふうてんの寅さんには憧れる。
寅さんの自由さに人は惹かれる。
旅=非日常+ユーモア。
ユーモアが加わると、自由に見える。
4.楽しませたいの法則
人を楽しませるにはどうしたらいいか?
「楽しませたい」と思っている人は、
相手の夢を掻き立てられる。
共感し、自分ならどうするか考え、
「自分もやってみたい」とワクワクし始める。
エンターテイメントの原点はここにあります。
やる側が決めるのではなく、
受け手がどれだけ感動・衝動を掻き立てられるか。
5.王道の法則
王道が悪いわけではない。
王道は「誰もが知っていること」。
しかし、ストーリーを作るには必要。
誰も知らないことをやる時は、
ミーハーな部分+ニッチな部分を作る。
ルイ・ヴィトンがワインオープナーを出したら?
アップルがサーフボードを出していたら?
面白いですよね。
整体屋がパーソナルトレーニングを取り入れる。
それが注目される。
王道と組み合わせることで、認知されやすくなるのです。
6.Oneコンセプトの法則
1つのコンセプトを持つこと。
複数あってはいけない。
スターバックスのコンセプトは「おいしいコーヒーを飲む」。
リラックス空間を謳ってしまうとおかしい。
→「おいしいコーヒーを飲むための空間」ならOK。
軸を1つに。
コンセプトが決まると、
それを実現するための手段が見えてくる。
道に迷った時も、コンセプトが目印になる。
1つのツールには1つの役割(ワンツール・ワンミッション)。
いくつもの役割を持たせようとすると、何も実現しません。
「これだけしかやりません」と言いながら、
「これもどうですか?」はブレの始まりです。
7.クライマックスの法則
「終わりよければすべてよし」ではなく、
クライマックスに参加させること。
最後に参加してもらう。
覚えさせる行為も含まれます。
音楽のサビを口ずさめるようにする。
整体でも同じ。
最後に「参加してもらう」。
施術が終わった後、何が変わったかを一緒にシェアする。
相手は“参加した気になる”。
江尻はイベントの終わりに必ずスライドを流します。
参加中の自分の顔が映ることで、
「自分もこのイベントに参加していた」と実感するのです。
どう参加させるか――
これがストーリーの肝です。
7つの法則の使い方
これら7つすべてを使う必要はありません。
何かを表現するときに、
この中のどれか1つを意識する。
振り返ってみて、
「何も考えずにやってうまくいったこと」。
実はこの7つのどれかに当てはまっていませんか?
最後に
魅せるには、ストーリーを作ることが重要であり、
そのストーリーの主役は自分。
そのストーリーを作るとき――
- 覚悟する
- 嘘をつかない
- 本能を刺激する
この3つを意識して、
7つの法則を活用することで、
“魅せる”というものが生まれる。
さあ、早速「クライマックスの法則」です。
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🕯 魅せるとは、人の本能と心をストーリーで動かす技術である。


